研究紹介


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哺乳類の脳におけるエネルギー代謝

脳の交連下器官の役割

アストロサイトにおける転写因子Pax6の機能


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高等植物の葉緑体における転写制御機構の研究

植物の葉緑体は独自のゲノムおよび転写・翻訳機構を持つ半自律的な細胞内小器官です。葉緑体ゲノム上には原核生物型のRNAポリメラーゼ遺伝子(rpoB)が存在していますが、このrpoB自身はどのように発現を制御されているのか、わかっていませんでした。この研究では、パーティクルガンと植物の培養細胞を使って、葉緑体の中の遺伝子発現(転写)を正確に定量できる実験系を開発し、それを使ってrpoBのプロモーター領域の解析を行いました。

Hitoshi Inada, Motoaki Seki, Hiromichi Morikawa, Mitsuo Nishimura, and Koh Iba
Existence of three regulatory regions each containing a highly conserved motif in the promoter of plastid-encoded RNA polymerase gene (rpoB).
Plant J. 1997 Apr;11(4):883-90. doi: 10.1046/j.1365-313x.1997.11040883.x.

線虫C.elegansにおける温度受容機構の解明

Caenorhabditis elegans(カエノラブディティス・エレガンスまたはシー・エレガンス)は、大きさが約1mmの土壌性の線虫です。非寄生性で土壌のバクテリアを食べて生活しています。研究室では、寒天培地上に培養した大腸菌を餌として飼育されています。C.elegansは自分が飼育された温度を記憶し、餌のない環境では過去の飼育温度に向かって移動するという性質(温度走性)を持っています。このことは、2つの点で興味深い性質です。ひとつは、C.elegansは温度を感じる能力があるということ。もうひとつは、C.elegansは温度を記憶することができるということです。
この研究では、遺伝子を破壊して機能を解析する逆遺伝学という手法を使って温度受容に必要な遺伝子を同定することを行っていました。その結果、温度受容ニューロンのシグナル伝達系に必要な3つのグアニル酸シクラーゼ遺伝子(gcy-8, gcy-18, gcy-23)を同定することに成功しました。これらの遺伝子はお互いに機能を補い合っており、一つが壊れただけでは温度走性に異常は観察されませんでした。2つ壊して中程度の異常が観察され、3つすべてを壊すと、温度走性が完全に異常になりました。逆遺伝学の手法でなければ、同定できなかったことになります。

Inada H, Ito H, Satterlee J, Sengupta P, Matsumoto K, Mori I.
Identification of guanylyl cyclases that function in thermosensory neurons of Caenorhabditis elegans.
Genetics. 2006 Apr;172(4):2239-52. doi: 10.1534/genetics.105.050013. Epub 2006 Jan 16.

また、同心円状の温度勾配を利用した従来の温度走性のアッセイ系は半定量的で、水で飽和させた微細なビーズの畝に直線状温度勾配を作成した定量的なアッセイ系は、定量性はあるものの取り扱いが面倒くさいという欠点がありました。そこで、寒天培地を利用した直線上の温度走性アッセイ系を開発し、定量性と簡便性を両立できる解析系を確立しました。

Ito H, Inada H, Mori I.
Quantitative analysis of thermotaxis in the nematode Caenorhabditis elegans.
J Neurosci Methods. 2006 Jun 30;154(1-2):45-52. doi: 10.1016/j.jneumeth.2005.11.011. Epub 2006 Jan 18.

温度感受性TRPチャネルの機能的解析

Transient Receptor Potentialチャネル(TRPチャネル)は非選択性の用イオンチャネルで、大きな遺伝子ファミリーを構成しています。TPRチャネルには温度刺激に応答して活性化されるものがあり、それらは温度感受性TRPチャネルと呼ばれています。この研究では、温度感受性TPRチャネルのうち、TRPM2チャネルについて、電気生理学的・動物生理学的解析を行いました。

K Togashi, H Inada, M Tominaga
Inhibition of the transient receptor potential cation channel TRPM2 by 2-aminoethoxydiphenyl borate (2-APB)
Br J Pharmacol. 2008 Mar;153(6):1324-30. doi: 10.1038/sj.bjp.0707675. Epub 2008 Jan 21.

Uchida K, Shiuchi T, Inada H, Minokoshi Y, Tominaga M.
Metabolic adaptation of mice in a cool environment.
Pflugers Arch. 2010 Apr;459(5):765-74. doi: 10.1007/s00424-010-0795-3. Epub 2010 Feb 26.

Uchida K, Dezaki K, Damdindorj B, Inada H, Shiuchi T, Mori Y, Yada T, Minokoshi Y, Tominaga M.
Lack of TRPM2 impaired insulin secretion and glucose metabolisms in mice.
Diabetes. 2011 Jan;60(1):119-26. doi: 10.2337/db10-0276. Epub 2010 Oct 4.

また、TRPチャネルファミリーで酸味受容に関係すると考えられていたPKD1L3-PKD2L1チャネル複合体について、活性化刺激が取り除かれたあとで応答が観察されるという「OFF応答」を世界で初めて報告しました。

Inada H, Kawabata F, Ishimaru Y, Fushiki T, Matsunami H, Tominaga M.
Off-response property of an acid-activated cation channel complex PKD1L3-PKD2L1.
EMBO Rep. 2008 Jul;9(7):690-7. doi: 10.1038/embor.2008.89. Epub 2008 Jun 6.

温度感受性TRPチャネルの構造生物学的解析

温度感受性TRPチャネルの機能的な解析をすすめるうちに、構造学的解析の必要性を感じ始めました。そこで、一念発起して、米国東海岸のハーバード大学で温度感受性TRPチャネルの構造生物学的解析に取り組みました。温度感受性TRPV4チャネルの細胞内ドメインの結晶構造を決定し、疾患の表現型との関連を解析しました。

Landouré G, Zdebik AA, Martinez TL, Burnett BG, Stanescu HC, Inada H, Shi Y, Taye AA, Kong L, Munns CH, Choo SS, Phelps CB, Paudel R, Houlden H, Ludlow CL, Caterina MJ, Gaudet R, Kleta R, Fischbeck KH, Sumner CJ.
Mutations in TRPV4 cause Charcot-Marie-Tooth disease type 2C.
Nat Genet. 2010 Feb;42(2):170-4. doi: 10.1038/ng.512. Epub 2009 Dec 27.

Inada H, Procko E, Sotomayor M, Gaudet R.
Structural and biochemical consequences of disease-causing mutations in the ankyrin repeat domain of the human TRPV4 channel.
Biochemistry. 2012 Aug 7;51(31):6195-206. doi: 10.1021/bi300279b. Epub 2012 Jul 25.
PMID: 22702953 Free PMC article.

Garcia-Elias A, Mrkonjic S, Pardo-Pastor C, Inada H, Hellmich UA, Rubio-Moscardó F, Plata C, Gaudet R, Vicente R, Valverde MA.
Phosphatidylinositol-4,5-biphosphate-dependent rearrangement of TRPV4 cytosolic tails enables channel activation by physiological stimuli.
Proc Natl Acad Sci U S A. 2013 Jun 4;110(23):9553-8. doi: 10.1073/pnas.1220231110. Epub 2013 May 20.
PMID: 23690576 Free PMC article.

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